妙春堂の日常ーアラフィフ婚のすゝめー

アラフィフ婚にむけての日常つれづれ日記

【連載】アラフィフ婚への道②拒否権の行方

ゼクシィは買った。地方版にリゾート婚版など、いろんな種類があることも今回初めて知った。

 

ノートを買ってきて、思いつく限りに招待したい人の名前と希望の日取りを書き出した。

 

リミットは8月末。時間は無いぞ。当選を知った翌週には説明会の予約を虹夫さんに取り付けてもらった。

 

この時点でどこか虹夫さんが戸惑っているのが分かったが、敢えて問いただしはしない。とにかく私は佳いお日取りで憧れのドレスが着たかった。既にやや暴走気味である。

 

ここからは結婚式場からの許可を得られたので、会場名と当選したキャンペーンについても公開しようと思う。

場所は『天空(そら)の森セントクレアヒルズ』。キャンペーンでコラボしていたのは大分トリニータで、勿論A賞が当選していた場合に一緒に撮影出来ていたマスコットキャラクターはニータン。

 

あの丸くて可愛いニータンが、アラフィフのおいさんおばはんとレゾナックドーム大分でウェディングフォトを撮影していた可能性があったとか、なかなか笑えない冗談である。

 

週末のお昼前、私たちは会場に到着した。駐車場までお出迎えの待機をして頂いていて、とても気持ちが良い。

案内された席には、虹夫さんと私の名前入りウェルカムカードがさり気なく飾られていて、そこもおもてなしの配慮を感じて嬉しい。

 

私たちが当選したB賞で挙式をした場合の見積もりを見せて頂き、一通りの説明を受ける。

取り敢えずゲスト30人で算出。料理やドリンクについても平均的なコースを仮設定。

キャンペーン当選の特典で挙式費用とタキシード、ウェディングドレス、それぞれの着付料は無料。

ウェルカムグッズにトリニータグッズのレンタルが含まれているのはかなりありがたい。ゲストをお迎えする場所の装飾、まったく思い浮かばないので。ニータンにいてもらえたらそれだけで華やぐだろう。

 

ところで結婚式を挙げるにあたって重要なことがいくつもあるけれど、そのうちのひとつで何よりも真っ先に決めなければならないことがある。これが決まらなければゲストに声も掛けられない。

そう、日取り。

 

何度も言うが、リミットは8月末。それまでに日が佳くてゲストにも来て頂きやすい日を最初に決めなければならない。

今年は元日からもう佳いお日柄だったそうで、著名人が何組も元日の入籍を発表したのは記憶に新しい。

かく言う私たち共通の酒友で、かねてよりお付き合いしていたカップルもこの日に入籍している。

 

虹夫さんは縁起を担ぐ人ではないので、その辺りはかなり無頓着。入籍も挙式も、なんとなく都合が良い日があればそれでいいんじゃない? という感じ。

 

対して私は最低限の縁起を担ぐのは大切だと思っている。縁起を担ぐことばかりにこだわって周囲の都合を考えず、調和を乱すようでは本末転倒だが。

 

そこで私は虹夫さんに断ったうえで、例のノートを取り出した。

日付けと曜日、その日の六曜などの暦、そして何故その日を希望するのかという理由までを第1~4希望まで1ページにぎっしり。理由の主なものは、遠方の姉や妹家族が子供の夏休みに入っているから帰って来やすいだろうというもの。

 

隣からノートを覗き込んだ虹夫さん、絶句。

 

因みに今回希望を書き出すことで、『母倉日(ぼそうにち)』という言葉の日を初めて知った。

「母が子を育てるように天が人を慈しむ」という吉日だそうだ。慶事を行なう日、物事を始めるに日に適しているとのこと。入籍や結婚式には最良である。

 

幸いにも私が希望している日程はどれもまだ予約枠が空いており、今なら余裕で押さえられるだろうとのこと。

 

ここからは館内を案内して頂き、大聖堂も見学。

「いってらっしゃい」という優しい声に促されて、荘厳なBGMと共にふたりでバージンロードを歩く。真っ白な壁と高い天井、奥のステンドグラスから差し込む陽を浴びていると、益々気持ちが高揚してきた。

私、本当に虹夫さんと結婚するんだなぁ。届け出だけなのもまったく悪くは無いと今でも思うけれど、節目として式を上げるのもまた悪くないのかもしれない。

 

因みに『大聖堂』と名乗れるには世界的な基準があるそうだ。大きいチャペル建てたから大聖堂と銘打とうなんて、勝手な判断は出来ないらしい。

 

披露宴会場は8人掛けの円卓が6卓。増やすことは可能のようだが、現時点でゲストは親族含めて30人程度だと考えており、だいぶ余裕がありそうな印象。

 

衣装を管理するブライダルサロンでは、私の憧れジュリー・アンドリュース扮するマリアのウェディングドレスを着た画像(何故か白黒しか見つからなかった)を見て頂き、私の持つイメージを伝える。

 

再び最初の説明を受けたテーブルに戻ったのだけど、そこには「おかえりなさい」のカード。どれだけ細やかなのかセントクレアヒルズ。こういうのは本当に嬉しい。

 

一通り見学を済ませ、イメージが湧いたところで改めてこちらで成約するか否かを確認。

一般的には複数の会場を見学して充分に比較してから式場を決定するそうだが、私たちはキャンペーンに当選したからこちらへ赴いた。特に他所を見学する予定も無いし、見積もりの金額も思いのほかお手頃。

 

ここで更にお金の話。

成約には申込金の100,000円が必要で、それは後日でも良いけれど、本日(即日)成約と支払いをすれば邸宅利用料が50,000円割り引かれるとのこと。翌日以降の支払いだとその割引は適用されない。

ぬぬ、50,000円は大きい。

更に成約してからでなければ希望の日程を正式に押さえることは出来ず、明日以降にもその希望日が埋まらないとは限らない。

 

暫し考える私と虹夫さん。たぶん、そこで虹夫さんはかなり葛藤したと思われる。

既に書いたように、虹夫さんは日取りにこだわりはない。だが、私はノートにびっしり理由まで書き出すまで日取りに思い入れがある。

優しい虹夫さんは私の気持ちを汲み、その日取りを押さえるために即日支払いを了承。

ただし、お互いの手持ちが足りない。

 

セントクレアヒルズさんには無理を言って時間をもらい、急遽ATMへGo! そしてとんぼ返り。

ふたりでお金を出し合って無事に申込金を支払い、成約。正式に私の第1希望の日程も予約が完了した。

 

結婚式場を検討している方は、念の為に見学の際にはお財布に余裕を持たせておくか、クレジットカードを用意していくことをお薦めする。私はちょっと慌てた。

 

後日、恒例の飲み歩きデートの中であのノートの話になった。

ぎっしり書き込まれた日取り希望のページを見たとき、虹夫さんはこう悟ったという。

 

「僕に拒否権は無い」

 

ちょっと待って。そんな言い方をしたら、まるで私の圧に押し負けたみたいじゃないか。

暦は勿論、理由まで細かく書いた方が説得力もあって虹夫さんにも納得してもらいやすいと思っただけなのに。

不本意な婚約判子ムーブ再来。

 

なんだかモヤっとするけれど、夏に向けて新たに目指すものが出来たのは良いことだと思っている。

次は両家顔合わせ。ひとつひとつ、虹夫さんと共に着実に課題をクリアしていきたい。