少し前に虹夫さんのお母さんについて書きましたが、本日は私の実母について書こうと思います。
とにかく天然で無神経な人です。
虹夫さんと結婚の挨拶に行ったとき、正座がツラそうだった虹夫さんに「これ使ってください」と、ピーナツ型のバランスボールを持ち出した話はいつか書きました。それくらい突拍子のない話には枚挙にいとまがありません。
先月下旬、結婚式のメモリアルフォトが出来上がりました。
結婚式の直前に脳梗塞で入院していた母。その後の検査で改めて手術をすることになり、入院が決まっていたので、入院前に実家に届けに行きました。
その際に、結婚式でお友達から「お母さんにそっくりやなー。すぐに妙春ちゃんのお母さんって分かった」というご意見が多かったことを伝えました。
すると母、強く何度も頷き笑いながら「うんうん、わるいところがな」と。
悪いところが似ているって何? と虹夫さん驚きつつ笑いを噛み殺していましたが、実は母が本当に言いたかったのは『丸いところ』。
つまり、私と母が太っていて顔や体型が丸いことを揶揄したのです。
母は顔面神経麻痺や脳梗塞の影響で舌が上手く回らず、残念なことに「ま」が「わ」にしか聞こえないのです。本人は気付いていないので、ただ笑っています。
長い付き合いで母の言葉選びの癖は把握しています。私はすぐに理解しましたが、こちらは笑えばいいのか怒ればいいのか判断が出来ず、ただ歯を食いしばるしかありませんでした。
入院の二日前、虹夫さんにお願いして八幡宮へ病気平癒の祈願をしに参拝。御守りも頂きました。
当日は手術の説明に私も兄と共に付き添うため、朝から虹夫さんに病院まで送ってもらいました。
これまでは兄に丸投げしていて知らなかったのですが、手術を伴う入院の前って長い行程があるんですね。受付してから検査に呼ばれるまでも、検査そのものも、次の説明を受けるまでも、その説明も、物凄く時間が掛かる!
説明待ちをしているとき、母が言いました。
「長いやろ? これだけ長いと誰かを付き添わせて申し訳ないわ。ひとりで来た方が楽でいいわ」
……は? と、カチーンときた私。元来、気が短いです。
「今日は来てごめんなさいねー」
なんて皮肉を込めて言ってしまったのですが、なんと母から返ってきた言葉は「ホントや!」でした。
あぁ、本当に来るんじゃなかったわ。御守りも返してもらっていい? て気持ちになりました。
そこは「そんなことないよ。今日は来てくれてありがとう」と返すものだと叱ったが、それに対する母の反応は「え? だからそう言ってるじゃない?」
どこで言った? 申し訳ないわ、がそれかい? ニホンゴムズカシイネー(片言)
精神的にぐったりしてきたところに、ようやく医師の説明に呼ばれました。
大変細かく丁寧に、あらゆる予測をあげてひとつひとつ解説をしてくださり、私としてはかなり不安は解消されました。
そうは言っても患部は脳の血管です。万が一にも事故が起これば、障害を負う可能性もあります。
本人はとても不安で緊張していることでしょう。
執刀医の先生が言いました。
「どうしたって、不安はあったでしょ? 生活の中でも心配はするでしょうし」
母、応えて曰く
「そうですねー。重たいものを持ったり身体に力を入れて、その途端に破裂したらとか心配になって。だから腹筋運動も出来なくてお腹周りがこーんなに(突き出たお腹のジェスチャー付き)」と。
医師、爆笑しながら曰く
「付き添いの方が“そうじゃないだろー”て顔してますよ」
私と兄が顔を歪めて項垂れてるところを拾う医師。そこはスルーして頂きたかった。
こんなネタが豊富な母ですが、翌日無事に手術を終え、現在は安定しています。
当初の予定していた手術以外にも、緊急で措置した方が良いと判断された箇所が複数あり、そちらも即対応して頂けたそうです。予定していた箇所もかなり危険な状態だったらしく、今回手術を決断しておいて正解だったとのことです。
母、ネタ以外にも運も持っているようです。それもかなり強いものを。
手術後の説明も兄と一緒に受けたのですが、そこで医師から「これで当面の不安は無くなったから」ということで、運動も心置きなく出来てダイエットも出来るね的なことを言われました。
どうだろうなー、という渋い顔をする兄の横で、私が「不安がなくなったことで気が大きくなって、更に食べるようにならないか心配です」と口走ってしまい医師大爆笑。
兄も乗っかって「これが正論です」とか言ってました。
何事も笑いに持って行ってしまう悪い癖も、私は母によく似ているかもしれない。