妙春堂の日常ーアラフィフ婚のすゝめー

アラフィフ婚にむけての日常つれづれ日記

【連載】当たるも当たらぬも八卦よいよい④「あれやこれや、どうするの」

たぶん旅行エピソード以上にレインボーさんの反応が気になるお話です。もしNGもらったら、この記事も含めて明日以降の投稿は停止する可能性があります。

緊張の第4話スタートです。

 

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元々婦人科系の持病を持っている私。その影響から重い貧血の症状が出ることがあり、次第に仕事にも支障が出るようになってきた。今日は大丈夫だと思って出勤するも、顔色の悪さから即行で帰宅指示が出る日もあった。欠勤も増えた。しがない派遣社員だ。収入が減るのは大変痛いのだが、如何せん身体がいうことを聞かない。

 

加えて約10年来の鬱病でもある。発症当時よりずっと軽くはなったけれど、思いがけずパニック発作を起こすこともあるし、不眠の症状は未だにかなり手強い。薬は欠かせない。

 

遂には月の半分近くを欠勤する事態にまで陥り、意を決して派遣契約の更新を断ることにした。先方は勤務形態を柔軟に対応するので継続して働いてほしいと言ってくれていたが、とにかくまとまった療養期間がほしかったので少々心苦しかったがその申し出を断った。

 

この場合、契約期間満了とはなるが派遣先は継続雇用という機会を用意してくれており、それを断る形での離職なのであくまでも「自己都合による離職」に規定されるという。そうなると失業給付を受給する際の給付制限が2ケ月もかかり、経済的にも苦しくなる。

 

だがそこでハローワーク職員さんからのアドバイス。

私の場合は長い通院歴もあり、医師の指示書をもらうことで給付制限が無くなるとのこと。早速クリニックに指示書を依頼し、結果国民健康保険の保険料も軽減してもらうことが出来た。これからお財布事情が厳しくなるので、少しでも助成が受けられるのは本当に嬉しい。

 

 

実はお仕事をしている頃、週1~2回程度レインボー氏が仕事帰りに車で私を拾い、アパートまで送ってくれていた。私の職場は市中心部にあり、そこを基点に私とレインボー氏とは真逆の郊外に住んでいる。明らかに遠回りになるのに、帰り道だからといつもレインボー氏は快く私の職場近くに迎えに来てくれていた。

 

早退や欠勤が増えてきた頃から当然お迎えはお断りが続いており、レインボー氏には心配をかけてしまった。更に無職になってしまったのだから、これはもうお荷物以外の何物でもない事態。

特技は怠惰、趣味は惰眠という私から仕事を取ったら、人間らしさすら無くなるのではないか。誰よりも私が私に対して不安しかない。

 

そんなタイミングで周囲のお友達の圧もあり、汚部屋の断捨離がスタートした。毎日今まで通りの時間に起きて、自分のペースでお片付けに取り組んだ。離職直後は市役所やハローワーク、派遣会社への各種手続きも予想以上に煩雑で頻繁に外出することも多かった。おかげで思いのほか張りのある日々が続いた。

 

 

二度目の認定日でハローワークへ行く頃には、だいぶ体調も安定してきた。体力も回復してきたような気もしている。あくまでもマイペースに過ごせているからであって、再就職しても絶対に大丈夫だとは言い難いけれど、医師からも良い傾向にあると言ってもらえた。

 

条件的に失業給付は約1年受けることは可能だけれど、そろそろ本腰を入れて求職活動をしても良いかもしれない。早く再就職が出来れば、その分再就職手当が多くもらえることになるのだし。

 

早速ハローワークと派遣会社で求人紹介をお願いしたのだけれど、これがどれも一長一短という感じで改めて世間の厳しさを痛感する。全体的に時給は以前より増加傾向にあるのだけれど、その分実働時間が短いという求人が複数あった。それでは意味が無い。レインボー氏のお荷物にだけはなりたくないので、せめて自立出来る程度の収入は欲しい。さてどうするべきか。

 

 

実はもうひとつ、どうするべきかという問題がある。それは、名前。

 

昔から結婚するなら事実婚だと考えていた私。選択的夫婦別姓が法整備されれば法的な婚姻を結ぶのはやぶさかでないのだけれど、もうとにかく姓の統一が納得いかない。

 

夫婦別姓が導入されれば戸籍制度が崩壊するという意見も目にしたことはあるけれど、それだけで崩壊するならそもそもの制度が不完全なのではないかと感じてしまう。

 

などと抵抗はしているけれど、実際のところ私が折れることになるのは分かっている。納得はしていないが、私が彼の姓を名乗ることがお互いの将来を思えば最も現実的なのだと理解はしているのだ。

 

ある手続きをしに市役所に出向いた際、用件はすぐに片付いたのだがまっすぐに帰る気にはなれなかった。足は戸籍課の前へ。意味もなく記載台にある届出書の記入例を眺めたりしつつ、妙な緊張感で視線をカウンターへ走らせる。そしてカウンターの端に各種届出用紙が格納されているボックスを見つけた。必要な用紙を各々自由に持ち帰られるようになっている。

 

一旦呼吸を整えて、素早くボックスに向かい手早く婚姻届を引き出すとバッグにしまった。

 

なんだか悪いことをしているみたい。でも、実際先走り過ぎている自覚はあるし落ち着かない。心拍数も上がってきて安定剤が飲みたいとまで思った。だってまだ覚悟も納得もしていないのに。

 

帰宅して、改めて婚姻届の書式を確認。意外とシンプルだと感じた。記入する本籍の筆頭者って、亡父になるのか? それとも兄? いや、兄は結婚して新しい戸籍の筆頭になっているから、やはり亡父か。これは近いうちに確認しておこう。

証人って、誰にお願いすれば良いのだろうか。母か兄か、レインボー氏とのお付き合いを後押ししてくれたお友達か。レインボー氏は誰に頼むのだろう。

 

 

後日、コンビニで戸籍謄本を取った。戸籍の筆頭は既に除籍されている亡父。兄と妹は新戸籍を作っているのでそこに記載は無い。姉は婚姻による除籍となっており、更に婚姻日と配偶者の氏名も記載されていた。私もいずれこんな風に記載をされるのだろう。そしてこの戸籍に実質的に残るのは母だけになる。

 

まだ決まってもいないのに、何を感慨にふけっているのか私。レインボー氏にも言えない。あれだけ事実婚でいいなんて言ってた私が、既に婚姻届まで準備してしまっているなんて。

 

もうこれ、私の中では決定事項になっているんだな、と実感した。

 

【続く……】