アラフィフ婚のすゝめ

アラフィフ婚夫婦の日常つれづれ日記

【連載】アラフィフ婚への道20「今日お嫁にいきます」(クリームまみれの花嫁)

これから和装での登場だというのに、恐ろしいサブタイトルである。

 

虹夫さんと和装へチェンジして、次はお色直しでの入場を控える。

もう躓く心配はないが、階段を降りながらの入場は大変だろうとガーデン側扉から入ることを提案されていた。

 

しかし、酷暑の令和。暑い。

既に待機の段階で汗だくの虹夫さん。会場内では私たちのプロフィールムービーが流れている。

 

すっかり貫禄のついたおじさんとおばさんでも、昔は可愛らしく凛々しい時代もあったのである。

 

横を見ると、ダラダラの汗を豪快に紋付の袖で拭う虹夫さん。あ……。

 

ギョッとするも、もう仕方がない。夏の日差しが悪い。タオルを持たせていなかった私が悪い。

開き直って、前を向く。

 

やがてさっしーさんの声と共に扉が開き、和装の私たちが登場する。BGMは筝演奏の「春よ、来い」

 

……ん? なんか会場の空気がこちらに向いていないな。何かがおかしい。不思議な違和感を覚える。

 

実はあとから妹に聞いたのだが、この時ゲストの皆さんは私たちが最初の入場と同じ中央の階段から登場すると思っていたそうだ。だから皆さん中央奥の扉に注目していて、カメラも向けていた。

それが思いがけなく右のガーデン側の扉が開いたものだから、驚いて意識が追い付かなかったらしい。

 

妹がその時に撮っていた動画にも、一斉に右を向く大勢のゲストの後ろ姿と、妹の思わず飛び出した「そっちかーっい!」という絶叫が入っていた。すまん。

 

再びキャプテン氏の先導でラウンドし、高砂へ着席。先程食べられなかった料理に、更に追加の料理が並んでいる。メインのお肉も鎮座している。これは絶対に食べる。

 

だが、ほとんど間を置かずしてウェディングケーキの入刀タイムがやって来た。うわーん、おにくー。

 

登場したケーキは四角く、リクエスト以上と思えるほどにフルーツが盛り盛り。これからこのケーキで入刀をして、ファーストバイトだ。

 

虹夫さんから私へは大型のシルバーのスプーン。そして私から虹夫さんへは、40センチくらいはありそうな子供のおもちゃのスコップ。それだけで場内爆笑。

 

お互いに強引に無理のある量をすくい、食べさせる。楽しいけれど苦しい。だけどとても嬉しい。

因みにこの時のBGMはブルーノマーズの「Just The Way You Are」

 

お互いに遠慮なく大きくケーキを掬い上げ、正々堂々と差し出されるケーキを一口で食べ……ようと努力はしたが、土台無理な話。

何度かに分けながら、なんとか口に頬張った。

 

続いては、本来ならばケーキをゲストの皆さんに切り分けてサーブするのだけど、その前にひとつサプライズ。

今年の元日に入籍をして、この日の新婦側の受付をしてくれたご夫婦にも、サプライズバイトをしていただくことになっていた。

このお二人は、入籍だけはしたものの、お披露目の会すら無い超地味婚のままだった。

 

以前からご夫婦揃って私と虹夫さんを応援してくれており、その感謝を込めてお返しをしたかった。

 

さっしーさんの呼びかけに、まず旦那さんが立ち上がる。友人嫁、突然のことにその場で泣きじゃくる。

高砂に上がる頃には嫁、大号泣。それぞれどのスプーンにするかといくつか候補を見せると、旦那さん真っ先におもちゃのスコップ。それで女性に食べさせるのは無茶だ。

 

慌てて友人嫁が手にしていた金色の大きなスプーンと旦那さんのスコップを交換させ、まずは友人嫁がスコップにほんのちょっぴりクリームを掬った。可愛いけどそれじゃあ面白くないわ、友よ。

 

一方で、旦那さんはスプーンにモリモリとケーキを掬う。この対比が、このご夫婦の楽しくて素敵なところである。

 

ボロボロ涙をこぼしながら、必死にケーキを頬張る嫁。もはや限界。

かたやほんのちょっぴりのクリームを口に入れた旦那さん、突然むせて嫁と私にクリームを噴射。

 

ぎゃあーーー。

 

ご夫婦が所属する飲み助テーブルのメンバーからは大爆笑。私ももう笑しかない。

 

クリームまみれの赤い色打掛、汗ぐっしょりの紋付。もう、あかん。

セントクレアヒルズさん、衣装部さん、ごめんなさい。

 

この後も友人嫁は顔を真っ赤にさせて長いこと号泣し続けていた。

余計なことしやがってと怒られているのかと一瞬不安になったが、シンプルにサプライズにしてやられた悔しさと嬉しさに泣いていただけらしかった。ホッとした。

 

彼女たちにも、結婚の祝福を受けてほしかったので、このサプライズは成功ということで良いかと思う。

 

 

次回、花嫁の手紙で本領発揮。親族唖然のもぐもぐタイム編へ続く。