少し前に、メンタルクリニックの診察日がありました。
前回の診察から約一ヶ月。その間に挙式をし、名前が変わり住所が変わり……。
新生活はどうかと聞かれて、夫である虹夫さんが如何に私に理解があって救われているかを話した。
普通なら私の独特な言い回しや行動に苛々してもおかしくないのに、虹夫さんはそんな私を見て楽しんでくれるし根気強く相手をしてくれる。
さすがに酔っ払って半生を語り出した時は「そろそろ寝ようか」と歯を磨きだしてけれど。
そんな優しい虹夫さんにも、多少なりとも不満はある。
私は朝食をとらないので、朝は虹夫さんが自分のタイミングで適当に食事をとるのだけど、その時に使った食器を片付けたことを、そも「俺、家事してる」かのようにアピールした。
貴方しか食べていないものを、何故私が当たり前に片付ける前提なのか。
元汚部屋住人の私は、現在は如何に虹夫さんに清潔で快適な空間で過ごしてもらえるか常に意識して、毎日水回りを片付けている。
その片付けたキッチンに、夜食に食べたラーメンの丼と鍋をそのままシンクに放置されたことがある。
せめて残したスープは捨てておいてほしかった、と思いながら片付けた。
そんな不満を溜め込まないように、きちんと伝えたところ、翌日の朝食後は自ら食器を洗っていたし、洗濯機も回してくれた。
その間に私はもそもそと起き出して、支度をして、虹夫さんが洗濯しておいてくれた洗濯物を干してから一緒に出勤する。
言ってみるものである。
そんな話をドクターに話したところ、溜め込まずに不満を伝えて互いに改善を図るのは良いことだけど、それを話すタイミングが大事だよ、と言われました。
そうなのです。
どんなにこちらに理があっても、ぶつけるタイミングを誤れば相手に伝わりづらいこともあります。
今回とても運が良かったのは、直前に虹夫さんのご両親に招待されて、ご自宅で食事をしたこと。
帰る間際、お父さんとふたりきりになる瞬間がありました。その時にお父さんが言ったのです。
「あいつ、我が儘やろ? まぁあんな奴やけど、よろしく頼むわ」と。
お父さんの気遣いが嬉しくて、帰宅後に虹夫さんに良い機会だと思って話しました。
「さっき帰る前に、お父さんにこう言われました。私は貴方を我が儘とは思わないけど、少し不満があります」
そうして、食器云々の話をぶつけてみた訳です。虹夫さんは黙って聞いてくれて、翌日から改善されたのは前述の通り。
ドクター曰く「もう何も言うことはないね」と。
どうやら今回のエピソードは完璧だったようです。やったね。
もう若くない年齢からの共同生活なので、あれやこれやと感情を衝突させながら関係を築き上げていく時間がもったいない。
せっかくもう若くないのなら、経験値からくる感情のコントロールとタイミングの図り方で、まるく穏やかに生きていきたいものです。