妙春堂の日常ーアラフィフ婚のすゝめー

アラフィフ婚にむけての日常つれづれ日記

2021.12.02 責任、取れよな!

好きな漫画の作品に、こんな印象的な台詞がある。

 

「ファーストキスだったんだぜ。責任、取れよな」

 

白井恵理子・著『黒の李氷 夜話』より。

第一話にて、主人公の李氷が戦場で取り乱した女性を落ち着かせる為に、強引にキスをする。突然の不埒な行為に怒りで李氷を平手打ちにする女性。それに対し、李氷は冷めた表情で問う。

「落ち着いた?」

冷静さを取り戻した女性(実は軍の大将)は、その後無事に敵を討ち果たすのだが…。

 

衝撃的なラストが待っているけれど、そこは割愛。

結局この2人は誤解が生じて離れ離れになるのだけど、その別れの際に李氷が呟いたのが冒頭の台詞。

実は初恋で初めてのキスだった李氷。冷淡に見せかけて、本心は心臓バクバクだったことが容易に想像できます。なんて可愛い奴だ。声が塩沢兼人さんなのがまた最高!←そこ重要

 

この物語は女性の輪廻を繰り返して続き、人外の存在である李氷は不老不死の姿のまま、女性が転生するたびに彼女の前に現れては危機を救い、そして別れを繰り返す。

 

何度目かの転生の際、過去の(前世の)記憶が残っていた女性は李氷に言う。

 

「こっちこそファーストキスだったんだぜ?責任、取れよな!」

 

あぁ遂に李氷の時代と時空を超えた切ない想いが遂げられる時が来たか!と期待を持たせておいて、全力で裏切る白井恵理子。鬼か。

 

同じく大好きな漫画に『カルラ舞う!』(永久保貴一・著)がある。

その作品でも同じような台詞がある。

 

主人公のひとりである翔子。頭脳明晰、冷静沈着な彼女のファーストキスを奪った少年は、常に不敵な態度を取ってはいたけれど実は不治の病を患っており、明日をも知れない命。

散々翔子の心を掻き乱しておいて、病に屈してしまうその瞬間、既に心も奪われていた翔子は必死に少年の生きる気持ちを繋ぎとめようと呼びかける。

 

「もう…、責任取れ!」

 

翔子の心からの叫びに、少年は応えることが出来るのか…。

 

と、初っ端から漫画の話。しかも二作品。

少女漫画に感化されるつもりはないけれど、やっぱりね、初めてのことには責任って負うべきだと思うのですよ。

 

私は責任、取ってもらえませんでした。

たぶん、生涯なんらかの形で相手を許せないまま生きていくことになると思います。

向こうはまさかこちらが初めてなんて思っていなかったのでしょうね。でも、そんなこと知るか。

お前は私の初めてを奪った。その事実だけで充分だ。酔っていて覚えていないとか理由になるか、いい歳しやがって!である。

 

惚れてしまっていたのは事実で、そこは私も突かれると弱い。

でも、それとこれとは別問題だ。男を見せろ、馬鹿野郎。

 

なんて、面と向かって言えればねぇ。そこで結局何も言えない私もダメダメなのね、と思う。

きっぱり言ってやれるだけの強さが欲しい。

傷ついた過去は過去として、切り捨てられる強さが欲しい。

次へと気持ちを切り替えられる強さが欲しい。

 

強くなりたい。

傷を負った分だけ、かさぶたの分だけ、逞しく図太く厚かましくなりたい。