アラフィフ婚のすゝめ

アラフィフ婚夫婦の日常つれづれ日記

断髪式

一昨年あたりから、人生最後のヘアドネーションをしようと考えていました。

特に目的もなく髪を伸ばしていたのですが、せっかくなので3回目のヘアドネーションに挑戦出来ないかな、と。

 

本当は今年の初め頃には基準の長さを満たしていましたが、その頃に結婚式をすることが決まったので「こりゃ当分切る訳にはいかぬ」となりまして、挙式を終えて約1ケ月経った今、決行を相成りました。

 

選んだのは7年前に最初のヘアドネーションをお願いしたサロン。

 

その3年程後に別のサロンでもヘアドネーションをしています。

 

今回知ったのですが、その前回のヘアドネーション後にいろいろとルールが変更になったらしく、それまではサロンからカットした髪を協会へ送ってもらえていたのだけど、今は寄付者自身で発送する決まりになったそうです。

 

ただし髪の梱包(封入)や宛先の記入などはサロン側がしてくれるので、こちらは郵便局の窓口で送料を確認して切手購入して発送すれば良いだけ。特に難しいことはありません。

 

今回のサロンでは、ばっさりと切った約40cmの髪をチャック付きに保存バックに入れ、それを宛先記入済みの封筒に入れて帰りに手渡してくれました。

 

40cmか~。予想よりも5cmは長かったな。すっきりしたショートボブに整えて頂きました。

 

実はその日は夕食を虹夫さんのご両親から招待されていて、お会いするのが楽しみでした。

案の定、おふたりとも驚いていたけれど、さっぱりしていいね、と好評。

これで掃除もかなり楽になります。

特別公開

次に楽しみだったのが、その髪を洗う時です。

ずっと軽いだろうけれど、お母さんからは物足りなさを感じるかもね、とも言われました。

確かに長年多くて長くて重たかった髪でしたから。

 

シャンプーもトリートメントもずっと量が少なくて済むし、洗い流すのもあっという間です。

ドライヤーも数分。なんて素晴らしい。

 

最後は楽しみというより、恐怖が残ります。

それは『寝癖』

 

ロングヘアなら多少寝癖がついても巻いたり結い上げてしまえば誤魔化せますが、ショートヘアはそれが出来ません。念入りにドライヤーをかけておかないと、朝起きて悲鳴をあげることになります。

 

結果を言うと、思ったよりは酷くなかったです。

寝相も良くないので、それなりにグシャりましたが、まあ想定の範囲内という感じでした。

 

今後は白髪染めも考えていないので、ショートのグレイヘアを楽しむ予定です。

 

私を呼ぶ声

ひとつ前のブログを投稿した夜、虹夫さんから言われた。。

 

「読んだよ。軽く俺のことディスってない?」と。

 

いいえ、気のせいです。

 

 

引っ越しの際に、虹夫さんからお達しがあった。

旧住所にあった3つの大型本棚のうち、新居に持ち込んでも良いのはひとつだけである、と。

どの本棚も皆愛おしい。全てに思い入れがある。

 

それでも泣く泣く、一番の古株で頑丈な本棚と、新参者のカラーボックスは転居を許された。

 

友人からの長崎土産。2枚あるハズレの激辛は、見事に私たちにあたしました。

 

 

可哀そうなのは180cmもありながらすげなくあしらわれた可哀そうな子たち。

「この子にも、この子にも思い入れがあるの!」と虹夫さんに訴えてみたけれど、「そもそも本棚に“この子”とか言わんけん」と、かなり引き気味に返されただけ。悲しい。

 

SNSで譲渡先を募ったところ、意外にもすんなり申し出てくれる人が現れた。

 

引っ越しも済んで、少し落ち着いた頃に虹夫さんに頼んで軽トラでお届けに行った。エアコンの効きは悪いけど、ちょっとしたドライブを楽しむ。

 

先方は本が増えて、収納場所に困っていたそうです。

ありがたいことに2つ共まとめて引き取って頂けた。

 

 

ある朝、眠くて眠くて、でもお弁当作りと出勤の支度をしなければならず、何度も床に座り込んでは眠気と戦っていた。

 

やがて遂に耐え切れなくなった私は、虚ろな顔で呟いた。

 

「布団が呼んでる……」

 

虹夫さん、唖然。

 

「時々おかしなこと言うね」だそうですが、あ、時々ですか。良かったです。

 

感性の違いだろうけど、と虹夫さんは続けた。

 

「本棚は本棚だし、布団は呼ばないよ」と言われたのは、私にはかなり衝撃的だった。

 

布団に呼ばれた経験のない人なんて、この世にいるのか。

 

本棚は捨てたのではなく、里子に出したのだと言っても不思議そうにしている虹夫さんとは、根本的なところでは相容れないのかもしれない。

 

 

不満をぶつけるタイミング

少し前に、メンタルクリニックの診察日がありました。

 

前回の診察から約一ヶ月。その間に挙式をし、名前が変わり住所が変わり……。

 

新生活はどうかと聞かれて、夫である虹夫さんが如何に私に理解があって救われているかを話した。

 

普通なら私の独特な言い回しや行動に苛々してもおかしくないのに、虹夫さんはそんな私を見て楽しんでくれるし根気強く相手をしてくれる。

さすがに酔っ払って半生を語り出した時は「そろそろ寝ようか」と歯を磨きだしてけれど。

 

そんな優しい虹夫さんにも、多少なりとも不満はある。

 

私は朝食をとらないので、朝は虹夫さんが自分のタイミングで適当に食事をとるのだけど、その時に使った食器を片付けたことを、そも「俺、家事してる」かのようにアピールした。

貴方しか食べていないものを、何故私が当たり前に片付ける前提なのか。

 

元汚部屋住人の私は、現在は如何に虹夫さんに清潔で快適な空間で過ごしてもらえるか常に意識して、毎日水回りを片付けている。

その片付けたキッチンに、夜食に食べたラーメンの丼と鍋をそのままシンクに放置されたことがある。

せめて残したスープは捨てておいてほしかった、と思いながら片付けた。

 

そんな不満を溜め込まないように、きちんと伝えたところ、翌日の朝食後は自ら食器を洗っていたし、洗濯機も回してくれた。

その間に私はもそもそと起き出して、支度をして、虹夫さんが洗濯しておいてくれた洗濯物を干してから一緒に出勤する。

 

言ってみるものである。

 

そんな話をドクターに話したところ、溜め込まずに不満を伝えて互いに改善を図るのは良いことだけど、それを話すタイミングが大事だよ、と言われました。

 

そうなのです。

どんなにこちらに理があっても、ぶつけるタイミングを誤れば相手に伝わりづらいこともあります。

 

今回とても運が良かったのは、直前に虹夫さんのご両親に招待されて、ご自宅で食事をしたこと。

帰る間際、お父さんとふたりきりになる瞬間がありました。その時にお父さんが言ったのです。

 

「あいつ、我が儘やろ? まぁあんな奴やけど、よろしく頼むわ」と。

お父さんの気遣いが嬉しくて、帰宅後に虹夫さんに良い機会だと思って話しました。

 

「さっき帰る前に、お父さんにこう言われました。私は貴方を我が儘とは思わないけど、少し不満があります」

そうして、食器云々の話をぶつけてみた訳です。虹夫さんは黙って聞いてくれて、翌日から改善されたのは前述の通り。

 

ドクター曰く「もう何も言うことはないね」と。

 

どうやら今回のエピソードは完璧だったようです。やったね。

 

 

もう若くない年齢からの共同生活なので、あれやこれやと感情を衝突させながら関係を築き上げていく時間がもったいない。

せっかくもう若くないのなら、経験値からくる感情のコントロールとタイミングの図り方で、まるく穏やかに生きていきたいものです。

 

熟年新婚生活

入籍から約20日。

今夜は初めての、私と虹夫さんのフリータイムです。

 

虹夫さんとお付き合いを始めた頃から、お互いの自由な時間は尊重しようと決めていました。

 

元々虹夫さんはひとり飲みが好きで、毎週末は飲みに出ていた人です。私と付き合い始めてからも、基本的にそれは変わりませんでした。

 

この度めでたく入籍したけれど、やはりそれは変わらず。

それどころか今日までなんだかんだと多忙で一緒にばかり行動していたので、虹夫さんそろそろ限界来ていたかな?

この週末は夕方からひとりで出てくるから、と自ら宣言してきました。

 

私も長い独り暮らしで年中無休のフリータイムを20年以上生きてきたので、今こうして虹夫さんと生活出来ているのは幸せだけれど、やはり自由は欲しい。虹夫さんはまったく興味がないというミュージカル映画や、塩沢兼人さんが出演していた作品のDVDも思うままに鑑賞したい。

 

何より、こうしてブログを書く時間が欲しい。

 

酒飲みの酒飲みによる酒飲みのためのウェルカムドリンク

 

夕方から出掛けた虹夫さん。私はご近所のスーパーで買い物をして、入浴を済ませたら簡単な料理とハイボールを作ってテレビの前にスタンバイ。

独り暮らし時代からは何倍も大きくなった画面で、もう何十回も観ている『サウンドオブミュージック』を感動で打ち震えながら鑑賞しました。

 

こうしているうちに気付いたのだけれど、これまでは常に自由な時間しかなかったので無計画にダラダラ好きなことをしておりました。

でも、今夜は時間は未定だけれど虹夫さんは帰宅する。自由時間は有限なのでございます。

 

やりたいことをすべて虹夫さんが帰ってくるまでに満喫するにはどうするのが良いか。

少しくらいは部屋の片付けもしたいし。

 

超が付くくらいに苦手だった「計画性のある生活」が、半ば強制的に実践されることになった訳ですね。良かったのか悪かったのか? 勿論良いに決まっています。

 

熟年だからこそなのか、そういった流れが自然に受け入れられています。

 

 

若い頃だったら自我が勝って、相手を尊重するなんて考えが持てたかどうか。

考えは理解は出来ても、納得して実践出来たかどうか。

正直、自信はありません。

 

取り敢えず今夜はやりたかったことを一通り出来たので、これからもう一本缶ビール飲んじゃおうかな、とか思っています。

 

おやすみなさい。

 

【連載】アラフィフ婚への道22「今日お嫁にいきます」(祭りのあと)

披露宴の終わり、シェパードの「Home Town」で退場。

マットキャブの「LOVE STORY」でエンドロール上映。

そしてゲストのお見送りである。

 

おひとりお一人に自家製紅茶屋やまどりさんの紅茶を手渡しでプレゼント。やまどりさんはこの日のゲストのおひとりでもある。

さすがに生産者本人にその紅茶を渡すのはどうかということで、彼女には別のプレゼントを用意した。

 

だいぶゲストが去ってから、はたと気が付く。

 

タクシーチケット、いつ渡すんでしたっけ? (大間抜け)

 

隣で一緒にお見送りをしてくれていた兄に声を掛けたら慌ててチケット持って出口に走って行った。いや、本当に申し訳ない。

 

殆どのゲストは式場で手配したバスを利用していたので、あまり必要はなかったけれどそういうものでもないからね。

 

その際私も居ても立っても居られず思わずバス乗り場の辺りまで色打掛姿で走り回ってしまい、スタッフさんから慌てて呼び戻されたりした。その様子を見ていた号泣していた友人から「嫁ー!」と叫ばれたのはちょっと、いや、かなり面白かった。

 

虹夫さん、こんな落ち着きのない嫁で本当にいいですか? 今更ですか、そうですか。

 

改めてロビーに戻り、プランナーさんをはじめとした式場スタッフの皆さまからご挨拶を頂く。

感謝と祝福を言葉を頂き、こちらこそそれ全部お返ししたい気持ちである。

 

プランナーのTさんはこのブログも読んでくださり、本当にありがたい限りである。式が終わった後も読んでくださっているかな? 勢いで書いてるから読みにくい部分もあったと思う。そこはすみませんでした。

 

その後、着替えを済ませ持ち込みした荷物は後日回収することを確認。

支払い金額と支払いの方法や期日を確認し、私と虹夫さんはそれぞれの予定に向けて別行動をなった。

 

私は家族と宿泊するので、一度チェックインのためホテルへ。

その後、家族との二次会と喜寿祝いのために貸し切りのBarへ向かう。

 

虹夫さんはこの日来てくれていたお友達との二次会に、お馴染みの居酒屋へ。

私もBarへ行く前に少しそちらへ顔を出したのだけど、そこでこれでもかと花嫁の手紙を絶賛頂けた。あれだけ書けるのは凄い、お墓の話が良かった等。

お墓の話でこれだけ笑いが取れたのも、アラフィフという世代ならではと言えるだろう。

 

自分の素直な気持ちを率直に書いただけではあるけれど、これだけ褒めてもらえると調子に乗ってしまう。うむ、自重自重。

 

お店の大将からもお祝いを頂き、お礼を言ってBarへ移動。

本来この日Barはお休みだったのに、特別に開けてもらえて本当に感謝の言葉に尽きる。

 

そこでも大絶賛の手紙。

姪たちからは、自分たちのことが出てくるとは思わなくて嬉しかった、とも言ってもらえた。ここまでくるとむず痒いな。

 

そんなにも絶賛されるのに、何故私は書く仕事に就くことが出来ないままなのだろう。

ちょっと拗ねてしまったりもするが、今は素直に褒め言葉に喜んでいよう。

 

喜寿祝いに母に枕をプレゼント。無呼吸症候群なので、少しでもこの枕で改善出来ると良いと思う。

 

数時間後、今度は虹夫さんが顔を出してくれた。その直後に甥や姪達は疲れが出ていたので早めに切り上げたが、そこからも叔父や兄と大盛り上がり。

特に招待が直前になってしまった叔父には謝罪して、改めて礼を言った。

 

その叔父だが、スキンヘッドでちょっぴり強面。だけどとても気さくで歯に衣着せぬコテコテの関西弁なので、披露宴の中で妙に人気が高ったらしい。いろんな方と挨拶をしたようだが、皆さん印象深く残ったようだ。

 

叔父からも「俺は昔からお前の文才はよお分かっとった」と言われたが、大分と大阪で離れて住んでたのに、読んだことないでしょうが。調子のいいことを言う人であるが、そこがこの人の魅力だ。

 

翌日、別れる前に妹に言われたのが「以前より声が高くなってない?」というもの。

そうだろうか? と首を傾げるも、叔父の奥様から「幸せになると声が高くなるのよ」との説を教えてもらいビックリ。

 

今の私は、妹の知る昔の私より幸せらしい。虹夫さんのおかげであろう。ありがたいことである。

 

それから更に数日は、虹夫さんのご家族と親睦を深めてお酒も深くなってしまったり、SNSを通じていろんな方にお礼をしたり、式場への支払いを済ませたりと大忙し。

 

現在はその疲れが限界を迎えたのか、ちょっとばかり寝込んでいる。

 

 

まだまだ名前の変更手続きや引っ越し、転居届などやることは盛りだくさんだが、このブログは一区切りである。

 

遂に連載シリーズ「アラフィフ婚への道」も今回で最終回。

 

22回か。長かったな。約半年足らずか。

 

これ以降は熟年の新婚夫婦の日常を、出来ればイラストを交えて投稿していければ良いなと思っている。描く速度はかなり遅いので、投稿のペースも遅くなるとは思うが、楽しんで続けたい。

 

 

長丁場、お付き合いくださりありがとうございました。

また読みにお越し頂けると嬉しいです。

 

【連載】アラフィフ婚への道21「今日お嫁にいきます」(親族唖然のもぐもぐタイム)

ケーキ入刀、ファーストバイトもサプライズバイトも爆笑の中、つつがなく終了。

 

席に着き、何をするかと言えば当然『食べる!』

 

既にテーブルにはパンとデザートも置かれている。早く食べたい!

 

場内は歓談タイムなのか、急に静かになり、照明が落とされてカーテンが閉められる。

次、何があったかな? あ、余興のカラオケの準備かな。じゃあそれまで今のうちに食べちゃおう。正面に手付かずの魚料理があるので、それをちゃっちゃと片付ける。

 

魚料理を完食。続いてメインの肉料理に取り掛かるが、皿の位置は10時方向。うぬ、食べにくい。

 

普段なら自分で皿の位置を入れ替えるくらいはするが、今は色打掛姿である。袖をうっかり汚しそうで迂闊に動けない。ぐいっと身体に角度をつけて、やや強引にナイフとフォークで肉を捌いてお口に運ぶ。

柔らかくて美味しいー。このお料理にして本当に良かった。

 

その頃にはBGMにピアノ演奏でディズニー映画『ピノキオ』の「星に願いを」が流れ始めている。

あれ? この曲は選んでいないな。ディズニー曲はフレンドライクミーだけだったのに。

 

不思議に思っていると、正面の大きなスクリーンが上がり、そこにはカラオケを披露してくれるはずだった友人が立っている。その横には、司会をしていたはずのさっしーさんが電子ピアノでこのBGMを生演奏していた。

 

え、こんな演出知らないよ? サプライズ? やられたー!

 

驚きつつ、メインの付け合わせをパパっと口に放り込み、友人のちょっとした小ネタに笑い、気恥ずかしくなるスピーチに照れる。

 

私と虹夫さんは、そもそも私が惚れられたという流れから始まっているが、今はすっかり私が惚れこんでいる。そんなこともネタにされて妹たちの反応が気になるところだ。

 

友人からの歌のプレゼントは、ミーシャの『アイノカタチ』。プロ並みの歌唱力に聴き入る。

 

素敵な歌のプレゼントの後、切り分けられたウェディングケーキがお祝いのハート型のプレートと共に運ばれてきた。これは食べるのもう無理だろうな。でもプレートだけでも記念に欲しいな。

 

なんて思っている間にあっさりと花嫁の手紙のお時間。

再び照明が落とされて、私たちにスポットライトがあたる。熱い。

 

キャプテン氏から預けていた手紙を受け取り、虹夫さんにマイクを持ってもらう。

手紙の内容は便箋4枚にわたり、虹夫さん地味にビビる。

 

ピアノ演奏の『糸』に合わせて、私の手紙は次のように展開した。

 

 

皆さま、本日は遅すぎたふたりの門出にお越しくださり、本当にありがとうございます。

(ここで最初の笑いが起きる)

 

長年私たちの関係を辛抱強く見守り、痺れを切らしていたお友達の皆さまには、ようやくこの日を見届けていただけることを心から嬉しく思います。

(一番後押ししてくれていた友人が「本当や!」と野次を飛ばし、思わず「ごめんなさい」と返す)

 

皆さまもご存じのように、私は既に初々しさもなく、未熟というにはトウが立ち、あとは枯れるだけだと思っていました。

実は秘かに、いずれは実家の墓に入れてもらえないだろうかと思い、兄の子供たちに相談する必要があるとも考えていました。

姪っ子ちゃん、甥っ子ちゃん、安心してください。叔母ちゃんは虹夫さんの家のお墓に入ることが約束されました。

(ここで割れんばかりの大爆笑)

 

 

この後は、20年前に他界した父へ、私のような問題児を嫁に迎えてくれる虹夫さんのご家族に感謝してくださいとか(ここでも笑いが起きた)、母にはこれまでお互いに言いたい放題言い合ってきたので、もうこの場で話すことはありませんとか、結構な内容だった。

 

そして後半には、虹夫さんのご両親への想いを綴り、最後の挨拶に虹夫さんの姓に私の名前を合わせて手紙を締めくくった。

 

なんという達成感。思いがけず大爆笑を頂いてしまった。

私の書いた文章でたくさんの方を楽しませることが出来たことが嬉しくて、完全にふわふわと舞い上がる。

 

この1年ほど、かなり書くことへの気持ちが再燃しているので、なんだか調子に乗ってしまいそうだ。

 

こうして、手紙を添えた花束を母に贈り、兄にはブートニアを。

BGMは島津亜矢の『The Rose』。

続いてエドシーランの『Thinking Out Loud』の中、新郎と新郎父の挨拶で披露宴は幕を閉じた。

 

 

長かったし、あっという間だった。

 

姉と妹からは「しっかり食べてる」と呆れらた。余興前の僅かな時間に高砂のふたりが黙々と料理を食べている姿がゲスト席からよく見えており、「この時間はなんだ? もぐもぐタイムか?」と困惑されていたことがのちに判明する。

 

それでもデザートは食べそびれたし、プレートもそうそうに処分されてしまっており、若干の心残りは生じてしまった。

そこは私が早く申し出なかったのが悪いので仕方がない。

 

 

次回、祭のあとへ続く。

 

【連載】アラフィフ婚への道20「今日お嫁にいきます」(クリームまみれの花嫁)

これから和装での登場だというのに、恐ろしいサブタイトルである。

 

虹夫さんと和装へチェンジして、次はお色直しでの入場を控える。

もう躓く心配はないが、階段を降りながらの入場は大変だろうとガーデン側扉から入ることを提案されていた。

 

しかし、酷暑の令和。暑い。

既に待機の段階で汗だくの虹夫さん。会場内では私たちのプロフィールムービーが流れている。

 

すっかり貫禄のついたおじさんとおばさんでも、昔は可愛らしく凛々しい時代もあったのである。

 

横を見ると、ダラダラの汗を豪快に紋付の袖で拭う虹夫さん。あ……。

 

ギョッとするも、もう仕方がない。夏の日差しが悪い。タオルを持たせていなかった私が悪い。

開き直って、前を向く。

 

やがてさっしーさんの声と共に扉が開き、和装の私たちが登場する。BGMは筝演奏の「春よ、来い」

 

……ん? なんか会場の空気がこちらに向いていないな。何かがおかしい。不思議な違和感を覚える。

 

実はあとから妹に聞いたのだが、この時ゲストの皆さんは私たちが最初の入場と同じ中央の階段から登場すると思っていたそうだ。だから皆さん中央奥の扉に注目していて、カメラも向けていた。

それが思いがけなく右のガーデン側の扉が開いたものだから、驚いて意識が追い付かなかったらしい。

 

妹がその時に撮っていた動画にも、一斉に右を向く大勢のゲストの後ろ姿と、妹の思わず飛び出した「そっちかーっい!」という絶叫が入っていた。すまん。

 

再びキャプテン氏の先導でラウンドし、高砂へ着席。先程食べられなかった料理に、更に追加の料理が並んでいる。メインのお肉も鎮座している。これは絶対に食べる。

 

だが、ほとんど間を置かずしてウェディングケーキの入刀タイムがやって来た。うわーん、おにくー。

 

登場したケーキは四角く、リクエスト以上と思えるほどにフルーツが盛り盛り。これからこのケーキで入刀をして、ファーストバイトだ。

 

虹夫さんから私へは大型のシルバーのスプーン。そして私から虹夫さんへは、40センチくらいはありそうな子供のおもちゃのスコップ。それだけで場内爆笑。

 

お互いに強引に無理のある量をすくい、食べさせる。楽しいけれど苦しい。だけどとても嬉しい。

因みにこの時のBGMはブルーノマーズの「Just The Way You Are」

 

お互いに遠慮なく大きくケーキを掬い上げ、正々堂々と差し出されるケーキを一口で食べ……ようと努力はしたが、土台無理な話。

何度かに分けながら、なんとか口に頬張った。

 

続いては、本来ならばケーキをゲストの皆さんに切り分けてサーブするのだけど、その前にひとつサプライズ。

今年の元日に入籍をして、この日の新婦側の受付をしてくれたご夫婦にも、サプライズバイトをしていただくことになっていた。

このお二人は、入籍だけはしたものの、お披露目の会すら無い超地味婚のままだった。

 

以前からご夫婦揃って私と虹夫さんを応援してくれており、その感謝を込めてお返しをしたかった。

 

さっしーさんの呼びかけに、まず旦那さんが立ち上がる。友人嫁、突然のことにその場で泣きじゃくる。

高砂に上がる頃には嫁、大号泣。それぞれどのスプーンにするかといくつか候補を見せると、旦那さん真っ先におもちゃのスコップ。それで女性に食べさせるのは無茶だ。

 

慌てて友人嫁が手にしていた金色の大きなスプーンと旦那さんのスコップを交換させ、まずは友人嫁がスコップにほんのちょっぴりクリームを掬った。可愛いけどそれじゃあ面白くないわ、友よ。

 

一方で、旦那さんはスプーンにモリモリとケーキを掬う。この対比が、このご夫婦の楽しくて素敵なところである。

 

ボロボロ涙をこぼしながら、必死にケーキを頬張る嫁。もはや限界。

かたやほんのちょっぴりのクリームを口に入れた旦那さん、突然むせて嫁と私にクリームを噴射。

 

ぎゃあーーー。

 

ご夫婦が所属する飲み助テーブルのメンバーからは大爆笑。私ももう笑しかない。

 

クリームまみれの赤い色打掛、汗ぐっしょりの紋付。もう、あかん。

セントクレアヒルズさん、衣装部さん、ごめんなさい。

 

この後も友人嫁は顔を真っ赤にさせて長いこと号泣し続けていた。

余計なことしやがってと怒られているのかと一瞬不安になったが、シンプルにサプライズにしてやられた悔しさと嬉しさに泣いていただけらしかった。ホッとした。

 

彼女たちにも、結婚の祝福を受けてほしかったので、このサプライズは成功ということで良いかと思う。

 

 

次回、花嫁の手紙で本領発揮。親族唖然のもぐもぐタイム編へ続く。